石笛

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巣立ちを控えた親カラスの警戒心は噂どおり激しいものでした。
ちょっとでも巣に近づこうものなら、上空で激しく舞い、時には急降下で威嚇してきます。
これ以上親を怒らせたら本当に嘴で突っかれるか、体当たりでもされそうな気が・・・。

威嚇飛行

その後何日か雨の日が続き、ヒナの飛ぶ練習もお預け・・・巣立ちの日程も少し遅れるだろうと勝手に判断。

何とか平和的に野生とつきあえないものか・・・仕事を終えて一杯飲みながら考えていたら 「石笛」 が脳裏を過りました。

5千年ほど前の縄文遺跡から発掘された「石笛」(いわぶえ)
各地の遺跡から天然石の石笛が発掘されているし、青森の三内丸山遺跡からは、人工的に穴を空けたものも発掘されています。 

ボクはまだ現物を見たことも、その音色も聞いたこともないけれど、ずーと気になっていました。



縄文人が吹いていた「最古の笛」・・・


我が家のカラスのヒナの旅立ちには「黒曜石の石笛」の音を聞かせて祝おうと、夢中で制作を開始したのです

3日間ほどかけて、穴の口径や深さを何度も調整、ついに適度なサイズをみつけ、唇の位置や角度、息の強弱を繰り返し試しているうちにしだいに澄んだ音が出はじめました。

石笛

降り続いていた雨も上がり好天、久しぶりにカラスの巣をみて 愕然

ヒナがいない!

そうなんです。 カラスは野生の掟に従いちゃんと巣立ったのでした

せっかく 聞かせて上げようと思ったのに・・・でも、無事の旅立ちに安堵です。


追伸

巣立った後の雑木林で石笛の練習をしていたら、不思議なことに小鳥たちが反応したような気がしました・・・気のせいかも知れません。

で、その石笛ってどんな音色なの? って

三島由紀夫『英霊の声』という小説のなかで、「石笛の音色」についてにこんな風に表現していました。

  石笛の音(ね)はきいたことのない人にはわかるまいと思うが、心魂をゆる
  がすような神々しい響きを持っている。
  清澄そのものかと思うと、その底に玉のような温かい不透明な澱みがある。
  肺腑を貫ぬくやうであって、同時に、春風駘蕩たる風情に充ちている。
  古代の湖の底をのぞいて、そこに魚族(いろくず)や藻草(もぐさ)のすがたを
  透かし見るやうな心地がする。
  又あるひは、千丈の井戸の奥底にきらめく清水に向かって、声を発して戻つ
  てきた谺(こだま)をきくやうな心地がする。
  この笛の吹奏がはじまると、私はいつも、眠っていた自分の魂が呼びさまされ
  るやうに感じるのである。
                               「英霊の声」より抜粋


カラスの勝手 Ⅳ

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ヒナが生まれたのを確認してから10日目の朝、玄関から出た瞬間に親カラスが「ガァ」と一声を発しました。

前日の夜に、北キツネが雑木林の辺りをウロウロしていたので、 「巣立ちが近いのかな?」 と気になって遠目で巣を見ましたが、特に変化なし。

まぁ、お互いに観察しあっている仲なので「ガァ」=「おはよう」と挨拶でもしてくれたと受け止め、大声で「ガァ」と言い返し・・・後ろを振りむいたら、ジョギングをしているオバサンが立ち止まってボクを見ていました。
かなり恥ずかしかったけれど・・・あとのまつり・・・でした。

ところで、この朝の「挨拶」、気まぐれかと思っていたらこの日から3日続けて「ガァ」なのです。
実はその親カラス、巣からちょっと離れたシラカバの同じ木に止ってボクの出勤時の行動をチェックしていたのです。

そして、6月2日夕方
  ついに ヒナが巣から出てきました!


ヒナ歩行練習
                カラスの赤ちゃんどこにいるか わかります

もちろん、ヨチヨチ歩きで枝を少し移動するのがやっとですが、昼間は巣の中に篭り、夕暮れ時の2時間一生懸命歩行練習をやっています。


         カラスのヒナ

身体だけはとっても大きくなりましたが、飛べるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。



そんな訳で、親は朝から周囲の情況を目配りしていて、早朝の一声は 「おはよう」 ではなく 「巣に近づくなよ」 の警告でした。


夕焼け小焼け


夕焼け小焼けで日が暮れて ・・・ついつい口ずさみたくなる雑木林の夕日でした

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かみしほろん

プロフィール

黒曜石の鏡に映る太陽

北の石器人

黒曜石(十勝石)の魅力にとりつかれ、原産地・上士幌町に移り住んで20数年・・・
日々、石にまみれて生きている1万年遅れの石器人です。

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